ロニー・ウッド・ストーリー ~運命に愛された男~
ウッドストック直前に瓦解してしまった第一期ジェフ・ベック・グループから新生フェイセズ結成の真実も当事者たちによって明かされる。ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、チャーリー・ワッツそしてロッド・スチュアートら豪華メンバーが続々登場!監督は、マーティン・スコセッシの「ブルース・ムーヴィ・プロジェクト」中の一本であり、第二次大戦後の英国の白人にブルースがどう受け入れられていったかをテーマにした映画『レッド・ホワイト&ブルース』(2003年)も手がけていた英国人のマイク・フィギス。'95年のオスカー受賞作『リービング・ラスベガス』の監督としても知られている人物だ。監督は冒頭、自らロニーとの対話を始めるに当たり、裏にいくつかのテーマとなる言葉が書かれたカードを選ばせる。そこで2番目にロニーが選んだカードは「Disaster(大惨事)」。そこで笑えるようなズッコケ・エピソードでも語ってくれるかと思ったら、彼が語り始めたのは、最初のバンド、バーズを始めた頃に不慮の事故で失うことになってしまった恋人ステファニーとのあまりにも悲しいエピソード。映画はそんな話も交えながら、彼の人生を辿っていく。当然、ジェフ・ベック・グルーブ~フェイセズ~ローリング・ストーンズというバンドをわたり歩いた輝かしい音楽キャリアが中心となるのだが、後半では癌、ドラッグやアルコール中毒からの「生還」というシリアスな話にも続いていく。ゲスト・コメンテイターは、昨年リリースしたチャック・ベリーのカヴァー・アルバム用のバンドで共演している歌手イメルダ・メイ、ロニーのリハビリも助けた芸術家のダミアン・ハースト、ロッド・スチュアート、ピーター・グラント、マルコム・マクラーレン、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、チャーリー・ワッツに、現在の妻のサリー・ウッド。中でも最も注目を集めそうなのは、レッド・ツェッペリンのマネージャーとして知られた故ピーター・グラントと、セックス・ピストルズのマネージャーでもあった故マルコム・マクラーレンとの貴重な対話シーン。ジェフ・ベック・グループ時代のツアー・マネージャーでありながら同時期にニュー・ヤードバーズ~レッド・ツェッペリンの結成を画策していたグラントのここでの発言を巧みに使い、そこにロニーやロッド・スチュアートの発言も重ね、'69年のウッドストック・フェス直前を前にして瓦解してしまった第1期ジェフ・ベック・グループのゴタゴタを立体的に皆に語らせてみせるシーンは、驚きにあふれている。そして、その苦境からスモール・フェイセズ加入~フェイセズへの改名の経緯は盟友ロッドが語ってくれる。
出演 ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、チャーリー・ワッツ
監督 マイク・フィギス